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スキの情熱で世界を変える!――高野麻衣 公式ホームページ

スキの情熱で世界を変える! —— 高野麻衣オフィシャルサイト

往来する年に

年末イベントハルモニア'07-'08のメイン、音楽コンクールが無事終了の模様。
きっと今頃は、年越しの舞踏会である。
シューベルトの本質と新しい若い感性をどう共存させるか……
ナントの若者たちがプロの指導のもとで表現するその問題を、トーキョーでは自発的に取りくむ人々がいる。
それだけで、日本人の文化の力は捨てたものじゃないと思う。
「だからって、そんなのほんのひと握りでしょう。それにやっていることはクラシックじゃない」
クラシック音楽業界の人は、すぐにこういう反論をするから、旧態依然のままになる。
 
ポエトリーリーディングのグループから起こった問題提起。
難しいけれど、音楽と社会をともに考える上ではたぶん、避けては通れない。
せめて、みんなで考えなければならない。
この音楽コンクールでの新しい試みが、どのような社会的インパクトを与えたのか。
あるいはその余地があるのか。
これをしっかり考えて、レポートとして読みたい。
それはジャーナリストとしての私たちの役目だが……

こうして考えてみると、体調や諸々の事情があったとはいえ、主たる仕事場を早々に戦線離脱してしまったことが悔やまれる。
ひとつだけよかったのは、一連のイベントを完全に外部=想定される一般の読者として俯瞰できたこと。
ラ・フォル・ジュルネは特にだが、プレスとして参加するこちらまで学園祭の舞台裏みたいに熱狂してしまって、世界中がフォリー万歳!! こんな楽しい場所に、なんでみんなこないのか、というある意味閉鎖的な心持になる。
そして終了と同時に、きちんと熟考することもなく、熱狂ぶりを伝えることだけに終始し、力尽きる。
フィガロの結婚》を演じたアントワネットととりまきのよう。
なにもわかっていないのと同じだ。
より多くの人に真実を伝えたいのなら、もう高みからの視点と冷静さをもって、噛み砕いて、意味を考えることが必要なのだろう。
だって世界は、こんなにも静かなのだから。

 

雪が降り積もる。
もうすぐ年も明ける。
2007年は気持ちに余裕がなく、引きずられるように体をこわし、めずらしくネガティヴに力が萎んでいくような、年であった。
「なにもできなかった」
とつぶやいてから、そういえば、初めてのナントも、責任編集も、連載も、ライナーノートもプログラムも、すべて今年の出来事、と気づく。
長くあたためていた「乙女のクラシック」の思いを、こうして形にしたのも。
音楽に、変わらぬ感動と力を与えられたのも。
一年は、思ったより長い。
なにもない、などと考えるだけで罰が当たりそうだ。
もっと大きな自分になりたい。

コマーシャルではないが、ここ数年、カードや年賀状を書くという行為を見直している。
いかにたくさんの人々に出会うことができたか、また力をもらったか。
実感できるようになったのは、やはりこの仕事を始めてからである。
お世話になった先輩ライターは、出会うたび、いつも右手を差し出してくれる。
私たちは、いっしょに修羅場を潜り抜けた戦友のように――まさにそうなので、握手をする。
これはとても幸福なことだ。
新しい年は私も、たくさんの感謝を、衒うことなく伝えられる人間になりたい。
そうして人々に、直接であれ間接であれ、恩返しができるように、一歩一歩前進していきたい。 


まずはこのブログをいつも読んでくださる皆さまに、ありがとう。
2008年が、あなたとあなたの大切な人にとって、あたたかく幸せな年になりますように。 

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