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気になる部分

ヘンデル・フェスティバル・ジャパン」(18日)の行き帰り、『気になる部分』岸本佐知子白泉社)を読了。
この本を、電車で読んではいけない。
そのまた前日『西洋骨董洋菓子店』よしながふみ新書館)をイッキ読みしたために、繊細で美味で高価なフランス菓子と、ていねいに淹れてもらった紅茶が味わいたくなって、おすましして入った高級洋菓子店で読むのも絶対に禁止だ。
向かいのテーブルに貫禄たっぷりに座った老紳士の、頭についているのが、なぜ、ピンク色の三角帽なのか等。
そういう現象から目を離せなくなることうけあい。
(それでも菓子は美味だった。)
著者の言葉と感覚のセンスは、訳書も含め、最高級である。
http://www.hakusuisha.co.jp/essay/2005/02/post_31.html
 
さて、肝心の「ヘンデル・フェスティバル・ジャパン」について。
http://handel-f-j.org/

エンリコ・オノフリ(指揮)
キャノンズ・コンサート室内管弦楽団&合唱団
ヘンデル:水上の音楽、戴冠式アンセム(全曲)

「アラ・ホーンパイプ」の祝祭気分も、「司祭ザドク」の序奏に入るときの高揚感も、存分に味わえた。
正月第一弾をこれにしてよかった、と得意げに思った。
にもかかわらず、『気になる部分』。

キャノンズ・コンサート室内管弦楽団は、フェスティバル専属で、平生もBCJなどで活動する若手日本人プレイヤーで構成されている。
演奏も相対的にスゴイ。
ただここで気になったのは、ドレスである。
ピリオドの小編成オケはたいていそうだが、まず第一に、彼らは黒い燕尾ではない。
男性は黒シャツにスラックス、これが圧倒的多数。*1
で、女性はというと、わりと自由に黒~アースカラー系統のドレスを着ている。(気がする。)
しかし今回。
若い女性ばかりの弦の奏者のドレスが、まさに色とりどりであった。
深い赤、茶に近い臙脂とグラデーションをなすベージュ、一転してエメラルドグリーン、あざやかなペールブルー。
年末に見た映画『エンジェル』のような、アンティーク・ドレス色といえばいいのか。
なぜか不思議な統一感がある。
≪水上の音楽≫が終わり、休憩が終わり、合唱団が入場したときに思いは深まった。
「同じグラデーション!」
弦と同じステージ左半分の女性たちが、赤、ベージュ、緑の見事なグラデーションであったのだ。*2
自由に見えて、制約があったとしか思えない。
「このグラデで、黒はあえてナシ。
ピンクとか、絶対ありえないからね!」
ブルーの人は、ちょっと約束を破ってしまったが、そのあざやかな色が、一点のアクセントになっている。
……ねらいかも知れない。
ベスト・ドレッサーは、コンミスの杉田せつ子さん。
赤にも見える濃茶のドレスだが、デザインがすばらしく、古代ギリシャのキトンや12世紀フランスのコットのようでもあり、ポワレのようにモダンでもある。
過去と現代がリンクしあうバロックに、ふさわしい知的なドレスだ。*3

色とりどりのドレス。
今後も、気になる。  

気になる部分 (白水uブックス)

気になる部分 (白水uブックス)

 
*1 この舞台姿があまりに似合っていて大好きなのが、オーボエの三宮正満さん。
(フェスティバル企画1「ロイヤル・ファミリーのための音楽」に杉田さんとともに登場。)
当然演奏も、ラ・フォンテーヌ他の活動もすばらしい。
http://www.seaotter-classic.com/~lafo/cd/voboe.html

*2 ただし、ドレスのデザインはまったく違う。
実用面を差し引いても、合唱(声楽)やピアノの人のセンスはやはりあれ、前時代的というか……
そう、『のだめ』のピアノ・コンクールの折に誇張して描かれた、“クラシックの人のドレス”率が高いように思う。
あれを用意したハリセン妻も、たしか声楽出身だったはず。

*3 やっぱり、この方は知性的。
http://setsukodiary.cocolog-nifty.com/