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スキの情熱で世界を変える!――高野麻衣 公式ホームページ

スキの情熱で世界を変える! —— 高野麻衣オフィシャルサイト

プリンセスの時代

年末年始には「総まとめ」くらいの勢いでテレビを見る。
いささか食傷気味な「ハケン村」のニュースの裏では、いわゆる「おバカタレント」や芸人がひっきりなしに画面に登場。
――声高に“真実”とやらを伝えるべきか、薄っぺらな笑いや夢を与えるべきか。
メディア論をぶつつもりはないが、「不況」「社会不安」「不確実な時代」をこうも煽りたてられると…
フリーランスになってから安定したことなどないわたしだが、正月くらい家族と笑って過ごしていたい。
それが日本人らしい粋や、けじめだったりするのではないだろうか。
「おバカ」と呼ばれる女の子たちの絶え間ない笑顔に、なにかを学んだような気がするわたしは、きっとアントワネット・シンドロームなのだろう。

いつの世も、景気が悪くなると女子のお姫様願望が高まるようで、これが現在のプリンセス・ブームの一端であることは確かだろう。
アメリカでは、20年代の大恐慌の時代にもプリンセス・ブームがあった。9.11の直後から、パリス・ヒルトンに象徴される「わがままセレブ」の流行が始まったという事実も、おそらく偶然ではない。ある意味、恐ろしい現実から逃避する手段なのかもしれない。
バーネットの『小公女(A Little Princess)』も、急速な都市化と移民と貧困の時代を迎えていた、19世紀の英国でベストセラーになったし、その映画版――シャーリー・テンプル主演の名作は、大恐慌時代にヒットした。
そもそも、ディズニー映画の原案にもなったプリンセスたちの民話の多くも、中世から近代にかけての経済的・社会的動揺の時代に生まれたものだという。
このつながりでみれば、昨年の大河ドラマ『篤姫』のヒットも納得だ。
「日本一の男の妻になるのじゃ!」と叫んで見出され、悩みながらも特別な存在になってゆくヒロイン…
 
今年はまた、ナポレオン3世の生誕200周年にもあたる。
かの皇帝と、その后妃ユージェニーの時代(第二次帝政期/1852-1870)は、フランス史のなかではマイナーだが、現在の“花の都パリ”の礎だ。
有名なパリ大改造があり、産業革命による工業化でブルジョワジーにも贅沢品がいきわたったこの時代、ファッション・アイコンとなったのがユージェニー(左)だった。*1
スペインの名門貴族に生まれた夢見がちな少女のヒーローは夫の伯父、ナポレオン・ボナパルト。ヒロインはマリー・アントワネット
悲運の王妃アントワネットは、まさにこの大変革の時代のブームでもあったのである。*2
婚外恋愛依存著しいナポレオン一族と結婚し、后妃の地位にあっても平凡な主婦でしかなったユージェニーは、アントワネットとフェルゼンの悲恋物語に逃避、恋人たちの遺品を買いあさる“アントワネット・コレクター”となった。
あるいは理由は違っても、家庭問題に悩んだファーストレディとしての共感であったのかもしれない。

ガリエラ宮モード美術館ではいま、"クリノリンの帝国の時代に"展が開催中。
パリの北、皇帝夫妻の別荘だったコンピエーニュの城内の美術館で行われている、1855年のパリ万博をめぐる、英国のヴィクトリア女王との交流を見せる展覧会もおもしろそうだ。
Sous l'Empire des Crinolines 1852-1870
http://www.galliera.paris.fr/
Napoleon III et la Reine Victoria
http://www.musee-chateau-compiegne.fr/

ユージェニーやダイアナ妃*3 がそうだったように、「末永くしあわせに暮らしましたとさ」で終わらないのが現実。
実際のプリンセスには誰に対しても親切で、慈善活動に取り組み、他者の利益のためにその身分を利用すること(ノーブレス・オブリージュ)が義務付けられている。
困難な時代に、ある種の救済者としての役割を果たしているのがプリンセスなのだ。

なにも、ボランティアやエコにがっちり取り組めという話ではない。
新しい一日や季節の変化を愉しむゆとりをもち、健康で、笑顔を絶やさないこと。
周囲に対する気づかいや、本当の意味で美しい作法を守ること。
自分を信じて自分の仕事をやりぬくこと。
これが、オトクラの掲げる「誠」のプリンセス。 

皇妃ウージェニー (白水Uブックス)

皇妃ウージェニー (白水Uブックス)

 

 

*1 后妃がトランク作りの腕を認め引き立てたのがルイ・ヴィトン。また、ゲランの「オー・アンペリアル」は彼女に捧げられたトワレである。

*2 亡き王妃によるという触れこみの歌曲や詩がこっそり作られ、サロンでうやうやしく奏でられた。
そういえば、『ベルばら』の原案でもあるツヴァイクによる評伝が書かれたのも、『小公女』のなかで、屋根裏部屋のセーラがベッキーにアントワネットのお話を聞かせてあげたのも、この時代だ。

*3 彼女の祖先もままならぬ家庭生活を送ったらしい。18世紀の英国に実在したデボンシャー公爵夫人の伝記映画『ある公爵夫人の生涯』(4月公開)は、英国版『アントワネット』ねらいだろうか。
いずれにせよ今後取り上げていく予定。
SATCと新ドラマ『ゴシップガール』、スリ・クルーズ(トム・クルーズの長女)の話題も続々!の予定…
 
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