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スキの情熱で世界を変える!――高野麻衣 公式ホームページ

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【Movie】遊びをせんとや | 大河ドラマ『平清盛』

京都へ行きたい。
大河ドラマに夢中になると、一年中そればかり言っている。


いや、ほんとうに夢中なの『平清盛』。
第1回の、近年まれに見る禍々しさの貴種流離譚――「王家の犬め!」から主題歌にいたるまで、一目ぼれだった。
中宮璋子のもののけぶり*1、西行の歌、川原で殴りあう源平の御曹司。
序盤から叫びだしたいくらいのエピソードの連続で、
「もうなんだか、わたし、実況ブログとかやるべきかな」
と何度考えたか知れない。
長きにわたる清盛の中二病(重症)で多少もたついたものの、悪意や戦いを否定しない人物描写、伏線のはり方とリフレインが秀逸な脚本は一貫してものすごく好みだし、語りがいもあるのだ。
しかし、オトクラとしてはまず、これを取り上げなければならない。
音楽である。


というか、今様である。



平安末期に耽溺するのははじめてではない。
『夢幻花伝』なんかもだいすきで、座右の銘を「秘すれば花なり」にしていたこともある。
そんなわたしでも、人生でこんなにも後白河法皇松田翔太)という人物に夢中になることがあるとは予想だにしなかった。
だってイメージは、「日本一の大天狗」だもの。
義経』(2005)のときなんて、平幹二郎が演じていたんだもの*2
梁塵秘抄》の功績くらいは知っていても、これほどの今様バカ一代だったなんて。
こんなバカ、好きにならずにいられない。


動画は、雅仁親王(のちの後白河)が「遊びをせんとや」をミュージカルばりに朗々と歌うところで終わってしまうのだが、ドラマとしてはこのあとがすばらしかった。
亡き母の子守唄の記憶に呆然とする清盛に、一筋の涙をこぼしながら「そなたもか」と言い捨て、立ち去る雅仁。
鳥羽院と公卿たちのせめぎあいと、盛り上がっていく主題歌。
そしてナレーション。

久寿二年七月二十四日、誰も予想だにしなかった御裁断が、下された。
雅仁様、即位。後白河帝が誕生したのである。

玉座にもたれる後白河の不敵な横顔と、リフレインする「遊びをせんとや」。
最高だった*3


そもそもこのひと、即位直前まで今様しか生きがいがなかった。
「清盛にひきかえ私はどうだ。
声のかれるほど歌うておっても、誰も私を見るものはおらぬ」
とかなんとか、アイデンティティ彷徨をつづけていた。
それが、乙前が舞うこの歌によって、生きる意味を見つけたのである。

遊びをせんとや生れけむ
戯れせんとや生まれけん
遊ぶ子どもの声聞けば
わが身さへこそゆるがるれ

子どもが遊ぶときは、時のたつのも忘れて、目の前のことに無心になっている。
嬉しい時も、楽しい時も、また辛い時や苦しい時さえも、子どもが遊ぶように夢中になって生きたい――
作品を通奏する、この歌の解釈が、わたしはなによりもすき。
清盛と後白河がこの歌を共有するということに、たまらない思いがこみ上げてくる。


考えてみれば『平家物語』は、後白河が大原・寂光院の徳子を訪ねて終わる。
清盛にとって、時代にとって、それほどまで大きな存在だった後白河。
頼朝・義経兄弟の仲を裂いた狸爺とおもっててごめん……


カルミナ・ブラーナ》と並び立つべき《梁塵秘抄》の魅力についても、まだまだ語ることは多い。
関西での仕事も増えそうなので、京都がたりもしていきたい。
とりあえず日曜日は、第26話「幽閉の後白河 平治の乱」である。

*1:担当U氏によれば、この璋子と鳥羽院のSM関係も「政略結婚モノ」というカテゴリに含まれるのだそうだ。U氏とは今後の、清盛に下った常盤御前の「政略結婚」ぶりに期待を高めている。

*2:ちなみに清盛は渡哲也。もちろん、病床の清盛を院自ら見舞うなどの特別扱いには「おやおや」とほくそ笑んだものだ。

*3:気になったひとは第18話「誕生、後白河帝」を。なんとしてでも。

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