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晴雨計 第5回 「アートのお祭り」

日本人はアートが大好きって、ご存知でしたか?

英国の美術専門誌「The Art Newspaper」が毎年発表する「世界の展覧会動員数ランキング」によれば、2005年以降毎年1位は日本で開かれた展覧会なんだそうです。昨年ならば、みんな大好きフェルメールレンブラントが集結した「マウリッツハイス美術館展」。たしかに平日でも混雑していました。

定番のイタリア・ルネサンス印象派だけでなく、最近は現代アートも人気で、この春の「ジャクソン・ポロック展」は来場者数12万人。六本木で行われた新潟出身の美術家・会田誠さんの個展もいろんな意味で話題でした。この人気を下支えしているのが、女性向け情報誌や旅番組なんかでも紹介される「瀬戸内国際芸術祭」のような、地方のアートイベントなんだそうです。

どこもかしこもイベントばかりと、美術でも音楽でも業界内部の人は嘆きますが、私はちっとも悪いこととは思いません。多くのエンターテインメントって、入り口はどれも観光のようなものだと思うからです。「今が旬のアレをこの目で見た/聴いた」「アレの前で写真をとった」「お土産も買った」という観光気分を分かちあいたくて、人は「話題の○○」に行列をつくります。スカイツリーを眺めるのと同じ感覚でフェルメールを眺めたっていい。そこからはじまる「知る楽しみ」を紹介するために、私たちの仕事があるのです。

 

そんなわけで気になるイベント。来年は札幌、再来年は京都でと、年々増加中の「芸術祭」は、観光客の獲得(いわゆる町おこし)を目論む行政とアート界がコラボした“お祭り”です。

この大流行の先駆けとなったのが2000年にスタートした「越後妻有アートトリエンナーレ」。新潟の人ならもっと率先してドヤ顔してもいいと思うのですが、いかがでしょう。実際に現地を訪れたとき、私は予想以上の「他人事」感にちょっぴり落胆してしまいました。

雪国の奥ゆかしさと言えば聞こえはいいけれど、お祭りなんだからさあ、とごねたくなるのは漁師町・岩船育ちゆえでしょうか。え?祭りの種類を間違ってる? そうかもしれないけれど、それでもお祭りは楽しいほうがいい。誰かが誇らしげに何かを愛し、楽しそうに分かちあっているところにこそ、人は集まってくるのだから。

 (2013年8月30日付「新潟日報」初出)