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【Book】侯爵邸の午後 | 辻原登『抱擁』

レビュー Book

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小橋めぐみさんとの新年会として、旧前田侯爵邸を訪れた。

この洋館は、加賀前田家16代当主であり侯爵だった前田利為の邸宅として、1929年に建てられた。駒場の野趣にあわせた英国チューダー様式。長く英国で暮らした利為の生活が、いまもつづいているような不思議な空間だ。

3年ほどまえ近くに越してからは、煮つまったりするたびに訪れ、美しさのなかで力をもらった大切な場所。引越しの祝いとして、校閲者の友人に小説『抱擁』をプレゼントしてもらった思い出もある。

二・二六事件から間もない、昭和12年の東京。前田侯爵邸の小間使いとして働くことになった18歳の「わたし」は、幼い令嬢・緑子の異変に気づく。その少女は、見えるはずのない誰かの姿を見ている――。美しい日本語と、静謐な、息苦しいまでの緊張に貫かれたゴシック・ミステリーです。元ネタはご存知、ヘンリー・ジェイムスズの『ねじの回転』。戦前の華族の館の優雅な暮らしぶりの描写が魅惑的上、登場人物がまた粒ぞろい。フランス人形を抱きしめた少女に、その母で社交界の華・菊子夫人。黒字に白襟の制服を着たメイド。謎めいた庭師。「わたし」の相談相手となる家庭教師ミセス・バーネットが、鮮やかなリズムを添えます。

そしてなにより存在感を放つのが、心理劇に外側から働きかけてくる現実――大戦前夜の緊迫感です。クーデターを企てた青年将校たちの思いに共鳴していくクライマックスは圧巻。実際に、舞台となった洋館で読み終えました。怖いくらいの臨場感でした。最後の一行まで、一つ一つのピースが見事に埋められていく満ち足りた時間をぜひ、あなたにも。

(『花園magazine Vol.3』初出)

  

抱擁

抱擁

 

 

誘いにのってくれたお礼にめぐみさんにも貸したら、なんとその日のうちに読了し、感想を書いてくれた。

旧前田侯爵邸|小橋めぐみオフィシャルブログ「Comment allez-vous?」Powered by Ameba

本好きの友がいる幸せといったらない。そのうえ、女優には洋館がよく似合う。 

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春にはこの窓から満開の桜が見えるので、また来たいと思った。

「一番大好きな部屋はここ!」と、まるで自宅気取りで案内した、菊子夫人の寝室。ドレッサーが窓際の中央に置かれた、あまりにも贅沢な空間だ。

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「麻衣さん、横を向いて」とめぐみさんが撮ってくれた、題して『私の部屋』。午後の日差しが本当にきれいだった。

 

第二次世界大戦で侯爵が戦死すると、洋館はGHQに接収され、司令官邸になった。その後、1963年には駒場公園の一部となり、東京都の有形文化財として保存されている。日本近代文学館として使用されたこともあるそうだが、いまでは公園の一部に移設。数年前には館内にBUNDANというブックカフェが併設されて、朝食を食べに行く愉しみもできた。

この日はランチをしながら、新しいふたりのサロンの名前を考えた。おやつは梶井基次郎の『檸檬』のパフェ。コーヒーはカフェーパウリスタ風の「芥川」を合わせた。

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BUNDAN COFFEE & BEER

 

この日話したイベントの詳細は、まもなくお伝えおできる予定。

檀ふみさんと阿川佐和子さんみたいな、すてきなコンビになれたらいいと思っている。 

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最後に、めぐみさんからのお年始。桃お林堂の干支せんべい。素晴らしい冬の午後の名残り。 

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