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【Art】美術館は「記憶の器」 | 東京都庭園美術館「幻想絶佳 アール・デコと古典主義」

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昨年秋にリニューアルオープンした庭園美術館では、この1月から「幻想絶佳アール・デコと古典主義」展が開催中。先日、優雅なる内覧会の写真をいただいた(1/16)。

19世紀末から20世紀初頭のアール・ヌーボーに続いて、2つの大戦の時代(1914-45頃)の装飾様式が、今回の主役「アール・デコ」だ。1933年に竣工した旧朝香宮邸は、まさにこの、フランスを発祥とするアール・デコの遺産。

というわけで、なんといっても本展の見どころは、美しい洋館の居住空間を活かした展示と体感型アトラクションである。当時のサロンや博覧会で行われた生活空間を再現する「アンサンブル展示」が、当時の「美意識」そのものを伝えてくれる。

 

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話はアール・ヌーボーにさかのぼる。アール・ヌーボーは江戸の工芸デザインやオリエント美術などの影響が色濃く、植物がモチーフの曲線を多用した「曲線と装飾」が特徴だった。

アール・デコは、まさに反動だ。過度な装飾性は消え、直線やジグザグ、流線形を組み合わせたすっきりデザイン。近代化や工業化の時代背景がを考えがちだった。しかし当時のフランスで求められていたのは、「よりフランスらしい様式」。それは古代ギリシャやローマ、そして18世紀の新古典主義へのオマージュだった。

1925年にパリで開かれた現代・装飾美術・産業美術国際博覧会アール・デコ博覧会)のリーダーはアンリ・ラパンだった。ラパンは1933年、旧朝香宮邸の内装デザインも担当。「アール・デコと古典主義」を表現している。

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展覧会では、旧朝香宮邸のガラス工芸も担当したルネ・ラリックや、天才デザイナー、ジャック・リュールマン、古典主義の画家ジャン・デュパらの絵画、彫刻、工芸、磁器、家具などを展示している。

展示室に、物語を彷彿させるタイトルがついているのもいい。おきにいりは大食堂「ラパンの食卓」(上写真)や妃殿下の居室「デュパのティータイム」。どちらもCAREE BLANCの太田はるのさんのスタイリング。とりわけ妃殿下の居室は、薄暗い空間に浮かび上がるお茶会のテーブルセットが妖しい優雅さだった。

新館では、いまもパリの3宮殿――シャイヨー宮、パレ・ド・トーキョー、ポルト・ドレ宮を飾る絵画や彫刻が集まった。

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ヘッドフォンを装着して館内を回遊しながら、そこに存在した(する)かもしれない人物や空間のなかで自らが「観客/登場人物」になれるオーディオアトラクション『宴のあと』が、展覧会の白眉だった。皇族の邸宅だったこの美術館だからこそできる、「記憶の器」の物語だ。

「Le Serpent(蛇)」をテーマに、蛇モチーフや模様をみにつけるドレスコード割引も楽しい。静謐な祝祭性と優雅さ。古典と近代の融合した世界を体感できる展覧会は、4月7日まで。 

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