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【Stage】闘うプリンセスと七月革命 | ミュージカル『レ・ミゼラブル』

レビュー プリンセス Stage Voice

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ミュージカル『レ・ミゼラブル』を鑑賞(5/18 帝国劇場)。

お目当ては、エポニーヌ役・平野綾。『モーツァルト!』のコンスタンツェ役で大ファンになり、今年のプリンセスのひとりに掲げている注目の人である。

【Life】The Princess Year 2015~極私的・姫キャラリスト - Salonette

舞台に登場するだけで「彼女がヒロイン」と思わせる華。片想いに身を焦がし、男装して舞台を駆けまわる今回も、その印象は変わらなかった。

魂をしぼりあげるように歌う「On My Own」がまだ耳に残っている。その華奢な体から発せられるのが信じられないほど力強い歌声で、帝国劇場の舞台を支配している姿は、それだけで感極まる光景だった。


『Les Misérables』オン・マイ・オウン/平野綾 - YouTube

平野綾はミュージカル女優としての地位を築く以前に声優として大ブレイクしており、『NANA』のレイラ役や『君に届け』の胡桃沢梅役など、主人公より恵まれた境遇(美貌、才能など)にありながら拮抗する「少女マンガのライバル役」にも定評がある。自分を一文字で例えるなら「頑」(公式プロフィールより)。そんな彼女にとってエポニーヌは、だれもが納得のあたり役だろう。

エポニーヌは、コゼットの養い親であるテナルディエ家の長女。幼い頃はきちんと教育を受け、きれいな洋服を与えられ、人形のように愛らしく育った。ところが貧民としてパリに移り住んでからは、少年のような身なりで父の悪事を手伝い、なんとか生きている。

レ・ミゼラブル』のおもしろいところはこの逆転構造で、本来シンデレラだったはずのコゼットがジャン・バルジャンの登場により裕福な暮らしと愛と結婚を手に入れる一方で、エポニーヌは敗北者となり、同時に「革命のヒロイン」になるのである。

学生マリウスに恋心を抱くが、彼が愛するのはかつての女中コゼット。絶望しながらも、エポニーヌはマリウスの恋の成就を手助けし、父にさえ背く。マリウスを危険から守るため、男装して暴動に参加する。そしてマリウスを一発の銃弾から護るために身を挺し、マリウスに看取られながら幸福に息絶える。

「現世で結ばれないなら、同じ場所で死にたい」

壮絶な覚悟で革命に散るエポニーヌ。これがヒロインでなくてなんだろう。

私は「少女マンガのライバル役」にこそプリンセスの本懐があると考えている。私のプリンセスたちはいつも、強い意志でよりよい自分であろうとし、清く凛々しく美しい。

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もうひとり強烈に印象に残ったのが、学生たちの革命を先導するアンジョルラス役・上原理生。芸大声楽科出身ということで、発声があきらかに違う。どんなにオーケストラが盛りあがっても、彼の声だけがはっきりと耳に飛びこんでくる。声=存在感という事実を痛感させられる経験だった。 

帰宅して調べると、アンジョルラスは革命の大天使と謳われたルイ・アントワーヌ・ドゥ・サン=ジュスト(フルネームで書きたかった)がモデルだという。ますます愛着がわいた。

それにしても、どうしてこんなにも革命に惹かれてしまうのか。

レ・ミゼラブル』のクライマックスは、ドラクロワの絵画『民衆を率いる自由の女神』でおなじみの7月革命(1830年)がモデル。同時代のパリはリストがスターダムにのし上がり、翌年にはショパンがやってくる「世界の首都」なわけで、じゃあなんで学生たちは蜂起したのかとか、リストはなにしてたのかとか、いよいよこの時代が気になって仕方なくなってきた。

リストの愛人マリー・ダグー伯爵夫人は、ここに端を発した1848年革命について著したジャーナリストでもある。

これも運命。いましばらく、この時代を掘り下げてみようと思う。

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帝国劇場 ミュージカル『レ・ミゼラブル』

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