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スキの情熱で世界を変える!――高野麻衣 公式ホームページ

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【Anime】なぜ「落語心中」は何度も“聴きたく”なるのか? | 雲田はるこ「昭和元禄落語心中」特集 vol.1

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(c)雲田はるこ講談社/落語心中協会

 

アニメ『昭和元禄落語心中』の第2期〈助六再び篇〉が6日深夜、スタートした。

なんてあっという間の30分だったことか! 助六与太郎)登場とおなじみのJazzyなテーマ曲で一気に高揚し、老境の八雲の色気に心酔し、萬月兄さん(関西弁の遊佐浩二さん)にズッコけ、大好きなツンデレ小夏(ぐんと大人っぽくなった小林ゆうさん!)になぜか涙ぐみ、とどめに樋口先生役が関俊彦さんだなんて!

 「ドドン!」という、〆の寄席太鼓の音が鳴り響いても、幸せすぎてまだ処理が追いつかなかった。そこに、愛しかなかったから。

拙著『マンガと音楽の甘い関係』に深い理解を示し、表紙画を手掛けてくれた原作者の雲田はるこさんに出会って以来、私は数年ぶりの寄席に足を運んだし、隙を見てはユーロライブの「渋谷らくご」にも通っている。行動の後押しをしているのは確実に、雲田さんや落語愛あふれるキャストたち、掲載誌ITANやアニメなどが一丸となって取り組む、息の長い「落語啓蒙活動」である。

おなじ“クラシック”に関わる者として、ほんとうにいとおしいこの活動への共感と賛同をこめて、ちょうど1年前、アニメ『昭和元禄落語心中』1期スタート時に寄稿した特集を今回から4回に分けて再録させていただく(毎週土曜更新)。

 

2017年は、「声」というジャンルへの取り組みを強化するつもりだ。

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“音楽としての声/落語”――八雲役の名優・石田彰さんへの限りなき愛をもそそぎ込んだこの特集を、そのはじまりの1ページ目におきたいと思う。

 

最近、「落語ブーム」らしい。

正月ドラマ『赤めだか』に映画『の・ようなもの のようなもの』、ユーロライブの落語会「渋谷らくご」への関心――ここひと月のあいだにもさまざまニュースが飛び込んできたが、このブームの中心にあると言っていいのが、雲田はるこのマンガ『昭和元禄落語心中』ではないだろうか。

2010年より講談社ITAN」で連載中のこの作品、単行本は現在8巻、2月5日には最新9巻が発売される。*12013年に第17回「文化庁メディア芸術祭」マンガ部門優秀賞、つづく2014年には第38回「講談社漫画賞」一般部門を受賞。同年に発表され話題となっていたアニメが、いよいよこの1月にスタートした。放映に先だって行われたイベントの模様は、こちらでご紹介したとおり。

entertainmentstation.jp

昭和元禄落語心中』はその名のとおり、昭和を舞台にしている。

主人公は刑務所を出たばかりのチンピラ・与太郎。落語慰問会で見た大名人・八代目有楽亭八雲の「死神」が忘れられず、出所して真っ先に寄席へ向かう。弟子を取らないことで有名な八雲だったが、どうしてかお許しが出て与太郎は住み込みの弟子に。向かった八雲の家には、彼と深い因縁のある小夏という女性が暮らしていた。小夏は、八雲の兄弟弟子で盟友だった故・有楽亭助六の遺児だった。こんなふうに、プロローグにあたる〈与太郎放浪篇〉は、はじまる。

この与太郎、あることで八雲から破門されてしまう。必死で許しを請う与太郎に、八雲は3つの約束を誓わせる。そこから八雲が盟友・助六との因縁を語る過去編〈八雲と助六篇〉へ――1月にスタートしたアニメは、この〈八雲と助六篇〉がメインになる。

物語は、八雲と助六が少年だった戦前へ。少年たちは悩みを分かちあいながらも切磋琢磨して成長し、やがて新進気鋭の若手落語家となる。しかし、そんなふたりの前に、謎めいた美女・みよ吉が現れて……。

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(c)雲田はるこ講談社/落語心中協会

私などはこの「ふたつの才能と宿命の女」といった人間ドラマが気になる口だが、この作品で極めて特徴的なのが、各界の落語ファンからの熱い支持である。

 

記憶にある限りでも「落語ブーム」というのは過去何度もあって、最近ではドラマ『タイガー&ドラゴン』『ちりとてちん』などがヒットした2000年代前半がそうだった。このときには、ドラマに登場した若手落語家の名を覚えたり、自分と同じ年頃の女子が寄席に殺到しているというニュースをおもしろく眺めたりした。しかし、今回の落語ブームが特徴的なのは、前回の「カジュアル落語路線」から一歩踏み込んだ本格派ぶりだ。

昭和元禄落語心中』を読み、興奮した落語ファンたちは口をそろえて、昭和の名人たちへのリスペクト、落語愛が熱いという。

たとえば、主人公の与太郎の本名・強次というのは故・3代目古今亭志ん朝の本名だし、師匠である八雲にもインスピレーション源になった噺家が存在する。しかし、どちらも明確なモデルを持ち忠実に史実をなぞっているわけではない。

落語をめぐる状況も、「戦後のテレビ隆盛→衰退→古典か新作か」というシンプルな流れとして紹介される。むしろ「心中」という物語性のために、現実より落語が衰退した、ディストピアのなかで落語を存続させようとする人たちを描いているのだ。

 

そう、『昭和元禄落語心中』は、いわばパラレルワールドの昭和落語。

その背景には、いつの世もどんなジャンルにものしかかる、「芸を伝えていくこととは」という命題を描こうとする作者の思いがある。

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原作では、落語の高座がていねいにコマを割いて描かれ、同時にフォントの工夫などによって、寄席の臨場感が緻密に再現されている。

アニメでは、そこに当代一流の声優の演技やこまかい動きを加えてより現実に近づける試みがなされた。 そこからは見えてくるのは、作り手たちの「落語ファンを増やしたい」という愛と情熱だ。

実際、アニメはDVD、イベント、本放送と繰り返し観ているが、何度観てもおもしろい。というか、BGVとして流しっぱなしにしたくなる。このことから、音楽ライターである私は、ここでひとつの仮説を立てたいと思う。

――『昭和元禄落語心中』は、ここ数年でもまれにみる“音楽的マンガ”であり、“耳に心地いいアニメ”であると。

 

構成・文/高野麻衣

(2016年1月25日付「エンタメステーション」初出)

rakugo-shinju-anime.jp

昭和元禄落語心中(1) (ITANコミックス)

昭和元禄落語心中(1) (ITANコミックス)

 
雲田はるこ原画集

雲田はるこ原画集

 
マンガと音楽の甘い関係

マンガと音楽の甘い関係

 

*1:2016年9月に最終10巻が発売され、堂々完結。去る1月6日には、美麗な表紙やカットイラストを集めた原画集が発売された。

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