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【Event】シャーロック・ホームズと音楽を | 音食紀行「ホームズ生誕祭2018」

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ホームズやワトスンは何を食べ、どんな音楽を聴いていた?

ということで、十二夜を迎える1月6日、19世紀ロンドンの「歴メシ(歴史再現料理)」をおいしく食べる音食紀行「シャーロック・ホームズ生誕祭2018」 が開催された。

 

会場は麻布のすてきな一軒家Azabu House One。

門にはユニオンジャックが掲げられ、日当りのいいサロンでは、お正月飾りに変身したツリーと19世紀英国風フレーバーウォーター(りんご、ミックスベリー、ミントとシナモンスティック入り)がお出迎え。

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音食紀行の新刊7冊と、革と糸と紙のハンドメイド「歩鳥堂」のホームズグッズも販売された。写真は、私も音楽コラムを寄稿したレシピ集『シャーロック・ホームズの食卓2018』と、歩鳥堂様のホームズベア。

午後1時すぎ、当日参加も含む30名あまりのシャーロキアンのみなさまとGod Save the Queen(英国国歌)を斉唱した時点で、すでに大興奮だった。

 

メニューは以下のとおり。

【音食紀行】シャーロック・ホームズ生誕祭2018

〜Menu〜

1.レンズ豆のサラダ   ~「赤毛連盟」
2.ハールストン風オニオンスープ  ~「マスグレーブ家の儀式書」
3.英国流冷製ローストビーフ  ~「ボヘミアの醜聞
4.グラタン風ジャガイモ  ~「青いガーネット」
5.2種のカレー
  a. チキンカレー  ~「海軍条約文書」
  b.アヘン風羊肉カレー  ~「銀星号事件
6.スコーン

 主役はやはり、今回の裏テーマ「アイリーン・アドラー」にちなんだローストビーフ(タイムとローリエ風味)か。「ボヘミアの醜聞」では、アイリーンとの直接対決に挑むホームズが“準備”と称し、ビールとともに食す。

「……二人は別々の方向へ馬車で去っていき、ぼくも自分の準備をするためにそこから立ち去った」

「準備とは?」

「コールドビーフが少々と一杯のビールだよ」ホームズはそう答えてから呼び鈴を鳴らした。

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フルーツの甘酢がたっぷりのサラダや、ラム肉のコクがやみつきだったオニオンスープも忘れがたいが、感動したのは手ごね風のスコーン。生地にねりこんだヨーグルトが決め手だとか。スコーンはやはり19世紀、オーブンの完成と型抜き文化によっていまの形になった。

2種のカレーはシャバシャバの英国風。チキンカレーは「海軍条約文書」のサプライズ謎解きを演出する、ハドスン夫人の朝食がヒントになっている。

ハドスン夫人は機転の利く人でね」ホームズがそう言いながら皿の蓋を取ると、カレー味のチキンが現われた。「料理のレパートリーはそれほど多くないが、朝食のアイデアスコットランドの女性に負けないくらい豊富なんだ。ワトスン、君の料理はなんだった?」

「ハムエッグだよ」私は答えた。

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もうひとつのアヘン風マトンカレーは「銀星号事件」から。もちろんアヘンが入っているわけはなく、謎の粉の正体はアサフェティダという香草(通称「悪魔のくそ」!)。シャーロキアンらしく、みんなで謎解きも楽しんだ。

 

BGMには、ご存知「ベイカー街221B」を含むグラナダ版ドラマのサントラ。

The Adventures of Sherlock Holmes-221B Baker Street

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食事のあいまには、高野麻衣による音楽トーク「名探偵はヴァイオリンがお好き~19世紀ロンドン音楽事情」もお楽しみいただいた。

まずは、ホームズの「音楽至上主義」を象徴する“オペラ歌手”アイリーンの手紙の朗読から。

【音食紀行】シャーロック・ホームズ生誕祭2018

〜Menu(音楽編)〜

朗読「アイリーン・アドラーの手紙」
シャーロック・ホームズの冒険』収録「ボヘミアの醜聞」より

 

1.ワーグナー:歌劇『トリスタンとイゾルデ』より「イゾルデの愛の死」19世紀末、ヨーロッパ中を席巻していたワーグナー(1813-1883)熱はロンドンにも。「内省的なドイツ音楽を好んだ」というホームズもまた、ワグネリアンだった?

「ときにまだ8時前だが、コヴェント・ガーデンでワグナーをやっているはずだ。いまから急げば二幕目に間に合うだろうよ」『赤い輪』

 

2.サラサーテカルメン幻想曲 Op.25

パブロ・デ・サラサーテ(1844-1908)はスペイン出身のヴァイオリン奏者。ビゼーのオペラを基にしたこの曲のほか、ジプシー民謡による「ツィゴイネルワイゼン」が有名。

「今日の午後、セント・ジェイムズ・ホールで、サラサーテが演奏するよ。どうだい、ワトスン、診察の合間に2、3時間都合がつくかい?」『赤毛連盟』

 

3.パガニーニ:24のカプリース Op.1-24

ニコロ・パガニーニ(1782-1840)はイタリア出身のヴァイオリン奏者。破天荒な人生と超絶技巧で知られ、このカプリースはのちにリストやラフマニノフによってアレンジされた。

そこから話題はパガニーニへと移り、クラレット1本を1時間かけて味わうあいだ、鬼才の天才でありヴァイオリン奏者であるその男の逸話をふんだんに語り聞かせてくれた。『ボール箱』

 

4.メンデルスゾーンハイフェッツ編):6つのリートより第2曲「歌の翼に」

フェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)はドイツ・ロマン派の作曲家。ヴァイオリン協奏曲や『真夏の夜の夢』のほか、ロマンティックな歌曲(リート)でも知られる。

難曲だろうが何だろうが巧みに弾きこなせることは、この耳が知っている。私のリクエストに応じて、メンデルスゾーンの歌曲などお気に入りの曲を弾いてくれることがあるからだ。『緋色の研究』

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ここまでは正典登場曲。最後は映像とともに、ドラマ名シーンのサントラ解説をした。

5. ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調

グラナダTV版ドラマ『入院患者』より。正典にはない、ドラマの音楽的名演出のひとつ。ホームズが真似るヨーゼフ・ヨアヒム(1831-1907)はもちろん実在のヴァイオリニスト。

 

6.ロッシーニ:歌劇『泥棒かささぎ』序曲

BBCSHERLOCK 2」第3話『ライヘンバッハ・ヒーロー』より。王冠を奪うためロンドン塔に侵入したジム・モリアーティが、犯行中スマホで優雅に聴く曲。

 

7. J. S. バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BWV1001-I. Adago

BBCSHERLOCK 2」第3話『ライヘンバッハ・ヒーロー』より。ヴァイオリニストにとって魂の作品集「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」の最初の1曲。

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「なぜこの曲なのか」「どうしてこの場面がいとおしいのか」「ホームズがいかにクラオタ(しかもミーハー)だったか」という力説(私のオタぶり)を理解し、笑いながら分かちあってくださる会場の雰囲気に、思わず感無量。

トーク後は「ほんとうにオタクなんですね」という声をたくさんかけていただき、ほんとうにうれしかった。 

 

同じものを愛し、分かちあえることのなんたる幸福!

私はミステリーでも、映画でも、マンガでも、いつだって「音楽描写」にときめいて生きてきた。

『マンガと音楽の甘い関係』刊行から丸5年。ホームズやマリー・アントワネットと音楽の甘い甘い関係についても、形にしたいと強く思った。

 

ご来場のシャーロキアンのみなさま、そしてイベントに合わせて刊行された『シャーロック・ホームズの食卓2018』や『マンガと音楽の甘い関係』をお買い上げくださったみなさま、ほんとうにありがとうございました。

本イベントのエッセンスをつめこんだ『シャーロック・ホームズの食卓2018』は、下記サイトでも販売中です。

シャーロック・ホームズの食卓2018 - onshokukiko - BOOTH(同人誌通販・ダウンロード)

ぜひまたの機会に、麻布や池袋でお会いいたしましょう!

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onshokukiko.com

 

音食紀行とのコラボも好評「お茶会クラシック」は1月20日(土)開催!

生演奏の音楽はホームズも聴いた「チャイコフスキー」、メニューはロシア伝統菓子「プリャーニキとロシアン・ティ」。お申し込みは、池袋コミュニティ・カレッジまで。

 

www.salonette.net

 

歴メシ!  世界の歴史料理をおいしく食べる

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