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【Music】新世界にて | ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018

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ダンスに巻き込まれ大笑いして、夜風に吹かれながらソーダを飲んで。音楽のこと、人生のこと、さまざまなおしゃべりをした。もう21時も過ぎていたのに、名残りを惜しむかのように人の波は引かず、楽しいからこそ寂しさがつのっていった。

「でもね、毎年くるたびにすごいなって思うんだよ。潜在的にはこんなにたくさんの人たちが、クラシックを聴きたいと思っているんだよ。すごいよね」

Sがつぶやいた。はっとして、気の利いた答えができなかった。ほんとうにすごいと思ったのだ。

美しくない思い出も、失敗も、伝わらない歯がゆさもたくさんあった。でも、希望はちゃんとある。毎年5月になるたびに、私たちはそれに気づかされる。

ファイナル・コンサートは、5000人の観衆に満たされていた。

この幸福な表情の人々と、これからもともにありたいと思った。そのためになにが必要なのか――そんなことを強く考えさせられた。

【Music】虹のかなたに | ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017 - Salonette

これがちょうど、一年前の出来事だった。

LFJ最終日、どこか変化の予感を抱きながらそんなことを考え、そしてあっというまに月日は経った。

2005年の日本初上陸から13年。音楽祭は今年から主催者側の体制が変わり、名称が「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」となり、丸の内エリアと池袋エリアの2か所で同時開催されることになった。

ルネ・マルタンとの出会いがきっかけで記者に転身し、12年続けさせていただいたソムリエカウンターの業務もなくなった。毎年あの場所で出会う人々との交流が、自分にとってどれだけ大切だったかを思い知りながら、静かに音楽に浸った3日間だった。

 

いろんな思いがあったが、わが師マルタンと音楽祭の精神にはなんら変わりがない。

よく晴れた2日目の午後、池袋エリアで連載のためのインタビューに伺うと、マルタンは目の覚めるようなイエローの装いで、いつもどおりエネルギッシュだった。

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あとで、そのが豊島区のカラーだと知って唸ってしまった。

私がマルタンを最も尊敬するのは、彼がアーティストであると同時にきわめて有能な経営者である点で、愛を示すことになんの衒いがないその姿勢がまぶしい。

池袋エリアに感じた希望は後述するが、エリア拡大はまったく違う客層にアピールできるチャンスでと考え、昨年よりお世話になっている音楽配信サイトKKBOXでも特集を組ませてもらった。

 

 

www.kkbox.com

 

意外に知られていない“ロック少年マルタン”の過去や連載裏話もつめこんだら、ポップスの世界で活躍してきた編集氏もがぜん興味をもって足を運んでくれたと聞く。とてもうれしかった。  

私はやはり、なんといってもマルタンのファンなので、彼が情熱的に推すアーティストを聴きたいと思う。

そんなわけで、「ラ・フォル・ジュルネを知るための10曲」のプレイリストはこんな感じに。前半のクラシックはなんとなくテーマ「新しい世界」から連想するもの、ほかにマリー=アンジュ・グッチ、

 

 

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2005年、日本に初上陸したラ・フォル・ジュルネに恋して、音楽雑誌の記者に転身して12年。モーツァルト、バッハ、シューベルトショパン……たくさんのテーマのなかでたくさんの人に出会って、「またね!」と再会を約束して、あっというまに1年がたって。そんなふうに12年を過ごしてきた。

でも、それは奇跡みたいなものだったのだ。志ある企業が文化を創ろうと動き、志をつなごうとする人々がひたむきな努力を繰り返してきたから実現してきた年月であって、決して夢のような「永遠の楽園」ではないのだ。

イベントも長くやっていると、常連が増え、成熟する一方で停滞と老いを意識せざるをえなくなる。

それでも私はいまだにあの空間に、ほかではなしえない可能性を感じつづけている。爛熟の末に衰退の道をたどっているクラシック音楽を愛する者として、末永く続いてほしいと願っている。

それならば、私はもっと考えていかなければいけないと思った。

たとえば50年後、ルネ・マルタンの志をつなぐためにできることはなんなのか。なにが問題で、なにが求められているのか。どのような方法論があって、誰と誰をつなげば現実になるのか。

切実に、多くのことを学びたいと思った。

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www.lfj.jp

 

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